2014年6月30日月曜日

卒業論文相談会の開催について(LC12台/3年生対象)


 文化学科では、10月上旬の「卒業論文指導願」提出期限に先立ち、3年生を対象に卒業論文の相談会を開催します。個々の教員に個別具体的な相談ができる貴重な場です。卒業論文を書くかどうか迷っている人も、是非とも足を運んでみましょう。
 また、この相談会に先立ち、夏休み期間に、自分の研究テーマについて本を読んだり資料を集めたりといった具体的作業を進めておくことも推奨します。
 日   時: 2014年9月24日(水)16:30~18:00

 場   所: 文系センター15階 第5会議室

 持ち物: 『2014年度版 文化学科教員紹介』など
 なお、卒論相談会に出ないと指導が受けられないということではありません。教員とオフィス・アワーやeメール等を利用して、積極的にコンタクトをとり、テーマを決定して9月30日(月)~10月11日(金)に人文学部事務室宛に「卒業論文指導願」を提出してください。
 卒業論文を書くにあたっての具体的手続は、『2014年度版 文化学科教員紹介』の25-29頁「卒業論文を書くために」を参照してください。
                                                                                                                                                                                                    
教務・入試連絡委員 植野健造・池田 浩
問い合わせ先:池田浩

2014年6月26日木曜日

ゼミ研修旅行で長崎・軍艦島に上陸見学(植野健造教授)

「教員記事」をお届けします。第五回は日本美術の植野健造教授です。



ゼミ研修旅行で長崎・軍艦島に上陸見学
2014年5月31日(土)

浦上・植野見学研修旅行
 2014年5月31日(土) 撮影:植野
文化学科教員の植野です。専門分野は美学・美術史(おもに日本近代美術史)と博物館学です。全学共通科目の芸術、専門科目の日本美術史、日本美術論、そして文化学演習(ゼミ)、その他に学芸員課程科目の博物館展示論、博物館資料論、博物館実習(美術)などを担当しています。


 私のゼミでは、浦上雅司先生(西洋美術史)のゼミと合同で前期と後期に1回ずつ日帰りで、美術館や寺院や文化財などを見学する貸し切りバス見学研修旅行を行っています。先日5月31日(土)には教員2名、学生27名の総勢29名で長崎市に行きました。

 朝8時に大学を出発し、午前中は長崎県立美術館で版画家・デザイナーの「渡辺千尋の仕事」展とコレクション展を学芸員の方の説明を拝聴しながら鑑賞し、昼食は四海楼でチャンポン、皿うどん、デザートを堪能しました。午後は長崎港から船に乗り、長崎市端島(軍艦島)クルーズに参加しました。悪天候の場合は、上陸できないことも少なくないそうですが、この日は初夏を思わせる晴天、上陸をはたすことができました。

 国史跡への登録、そして「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の一部として世界遺産登録への途上にある軍艦島、さすがにその視覚的インパクトはなかなかのもので、さまざまな問題を私たち教員や学生に鋭く問いかけてきました。そこは、人の生と死、生活、労働、欲望、娯楽、幸福、自然との関わり、時代の進歩と変化、文化資源と観光といった諸問題が濃密にうずまく世界であったことが想像され、しかも、それが廃墟となってさらに私たちの想像を膨らませてやまない独自の空間を形成していました。人の想像力と造形力の一つの到達点を見たような思いにとらわれた、有意義な一日となりました。

 参考までに、過去の見学先を書きとどめておきます。

【過去の浦上・植野合同ゼミ見学研修旅行】
2011年11月19日(土) 長崎端島(軍艦島)、高島・石炭資料館、長崎県立美術館
2012年6月1日(土) 山口県立美術館、瑠璃光寺
2012年11月23日(金) 熊本市現代美術館、熊本県立美術館
2013年6月8日(土) 霧島アートの森
2013年12月21日(土) 下関市立美術館、功山寺、唐戸市場、出光美術館(門司)、北九州市立美術館


2014年6月14日土曜日

授業紹介:文化学基礎論(宮野真生子先生)

 こんにちは、文化学科で日本の思想を教えている宮野真生子です。今日は、文 化学科のちょっとユニークな講義をご紹介します。

 それが、「文化学基礎論」という一年生全員が必ず受ける必修の講義です。この講義は、大学に入ったばかりの学生さんたちに、文化学科で学ぶ内容の全体像 をイメージしてもらうために、さまざまな問題を色々な角度から掘り下げてゆくことを目指しています。担当は宗教学の小笠原先生で、今年のテーマは「人生に価値を与えるものは何か」。他の専門の先生をゲストとして招きつつ、学生さんたちと議論をしながら双方向の講義がおこなわれています。

 さて、6 月 12 日(木曜)の講義は、ゲスト登場の回でした。「人生」を考える ためには、そもそも「人間とは何か」を考える必要があるということで、「人間と他の動物の違い」をテーマに近代西洋哲学がご専門の平井先生が登場し、この記事を書いている宮野と、小笠原先生の三人も議論に参加しながら、

「生命維持に必要じゃないのに、衣服で着飾るのは人間だけじゃないのか?」
「火を使うのは人間だけっていうけれど、本当にそうだろうか?」
「自分の死を抽象的考えて恐怖するのは、人間に知性があるからか?」

などなど、一年生の皆さんからさまざまな論点が飛び出し、それがどんどん繋がって、議論が展開していく、とても楽しい時間になりました。
 授業を受けていた学生さんも、複数の教員を交えた刺激的な議論に、いつもにもまして知的好奇心を刺激されている様子でしたよ。


宮野真生子准教授

2014年6月10日火曜日

異文化の接触地帯インナーモンゴリア(磯田則彦教授)

「教員記事」をお届けします。第四回は地理学の磯田則彦教授です。



異文化の接触地帯インナーモンゴリア

 こんにちは。文化学科教授の磯田則彦です。私の専門は、人口研究と異文化の接触地帯の研究です。両者ともに複合領域的な研究になりますが、それぞれに非常に魅力的な分野です。

 まず、人口研究についてですが、具体的には人口移動研究と人口問題研究が中心になります。前者については、日本・北アメリカ・北・西ヨーロッパを中心に研究してきました。人は生まれてから死ぬまである場所に定住し、一切別の場所に移ることがなくてもよいのでしょうが、実際にはライフステージの要所要所で移動を行う人が大勢います。果たして、「その人たちは、どのような属性で、どういった理由で移動を行うのでしょうか?」。以前から、そんなことが気になってしまいます。
 また、後者については、非常に大まかな表現を許していただければ、「人口が停滞から減少へ向かいつつある社会」(現時点では、概して先進諸国の一部や東欧諸国に多く見られます)や、「短期間に人口が急増している社会」(概して、後発開発途上国とイスラーム諸国に多く見られます)を対象として研究を行っています。出生と死亡に影響を与える社会経済的要因や政策などが中心的なテーマです。

 次に、異文化の接触地帯の研究ですが、このトピックスについては文化学科に所属し、専門のゼミや講義を担当し、学生諸君の卒業論文の指導を行う中で身近になってきた分野と言えるかもしれません。今回は、私のフィールドの中から「インナーモンゴリア」について簡単にご紹介させていただきます。

 ご存じのとおり、インナーモンゴリアは中国とモンゴルの国境地帯のうち中国側を指す地名です。人口はおよそ2,500万人で、8割近くが漢族、2割弱がモンゴル族という人口構成です。面積は日本のおよそ3倍という広大さです。このアーティクルをご覧の皆さんにとっては、「大草原の広がる牧歌的な雰囲気」が想像されるのではないでしょうか。


 ただ、実際に訪れてみると、そこには大草原もあれば、大きな山脈や複数の(日本人の私にとっては広大な)砂漠、大河も存在しています。一方、中心都市の呼和浩特は、モンゴル語で「青い城」を意味する(路線バスには「青城」の2文字が躍っています)、近代的なビルが林立し、非常に立派な空港・博物館などを有する大都市です。そして、この街の至るところに見られる漢字とモンゴル文字併記の看板や、チベット仏教の寺院、回民たちが建てたイスラム様式の建築物などに異文化の接触地帯としての一面を見てとることができます。




ところで、みなさんはモンゴル文字を見たことがありますか?なかなかユニークで、素晴らしいですよ。現地のモンゴル族の方たちは、文化的なアイデンティティが失われていくことを危惧し、自己の文化継承を強く意識して、お子さんたちの学校教育においてモンゴル語や文字が学べるところを積極的に選択する方が多く、かなり遠方にある学校まで親御さんが送迎されています。このようにして、文化が継承されているのですね(ご家庭は言うに及びませんが)。

さらに、ここの食文化も接触地帯としての特徴をよく表しています。ナイチャーと羊肉料理に代表されるモンゴル料理に、北方を中心とした漢族の料理が加わった構成です(注:そもそもナイチャー自体がミックスされたものですが)。いずれも絶品です。
 
ところで、言われてみればすぐに気づくことなのですが、このインナーモンゴリアは長城の外側に広がっています。周知のとおり、長城は秦代以前から築きはじめられた北方騎馬民族に対する漢族の防衛ラインです。悠久の歴史を思い描いた時、このラインを挟んだ内と外でどのようなドラマが繰り広げられてきたのでしょうか。「ワン・ジャオジュィンの物語」を思い起こされる方も多いはずです。さまざまな形態が見られるはずですが、「文化の融合」ということを強く意識せずにはいられません。


 大草原には羊の群れが遊び、ヒマワリたちが咲き誇る季節。地平線が見えるこの広い広い大地では、どこに雨雲があって、どこで雨が降っているのかも一目瞭然です。この異文化の接触地帯の大自然と人々の思いを載せた、マートーチンが奏でるドゥドゥマーの歌を聴きながら大草原を駆け抜けていく。私にとって、現在、最高のフィールドです。(終)


2014年6月2日月曜日

わたしたちの文化学科を紹介します!(LC13和田捺希さん)

学生さんによる記事です。今回は2013年度入学の和田捺希さんによる記事をお届けします! 


 初めまして!文化学科2年の和田です。高校生活も落ち着き、次の大学のことについていろいろと思い悩んでいる頃かと思います。福岡大学と一口にいっても学部学科が多く、よく分からない人も多いでしょう。その気持ち、よくわかります!かつての私もそうでしたから(笑) 学科が違うだけで、全くやることが違います。学科のミスマッチを防ぐためにも、自分が学びたい学科かどうか十分に吟味することをお勧めします。私の話が学科選びの参考になっていただけたら幸いです。

 突然ですが、皆さんは文化学科と聞いて何を想像しますか?西洋や欧米、アジアといった異国の文化を勉強できる学科?それとも日本の文化を勉強できる学科?うーん、福岡大学の文化学科は少し違います。福岡大学の文化学科は、もっと広い意味での「文化」を扱う学科です。

 そもそも文化とは、民俗や地域の固有の文化だけではなく、「民俗や社会の風習・伝統・思考方法・価値観の総称で、世代を通じて伝承されていくこと」を意味します(大辞泉第2版より)。文化を勉強するにはひとつの学問分野だけでは足りません。様々な分野の学問が重なり合って初めて文化が勉強できるのです。ですから、文化学科には様々な種類の分野の学問を学べます。大学に入って様々な分野の学問に触れた後に自分が興味のある分野を見つけ、専門として選ぶことができるのです。自分に合う分野、合わない分野を実際に学んでみてから専門を選べるので、今何を勉強したいかわからない、いろんなジャンルの勉強をしてみたいという方は特におすすめです。具体的にどのようなことが勉強できるかという詳しい話は、「文化学化って?」というページをご覧ください。それでは、あなたにとって素敵な大学生活が送れますように。

LC13台 和田捺希